研究課題/領域番号 |
06557080
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
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研究分担者 |
種子田 護 近畿大学, 医学部, 教授 (10236713)
田村 進一 大阪大学, 医学部, 教授 (30029540)
吉峰 俊樹 大阪大学, 医学部, 講師 (00201046)
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キーワード | 手術支援 / 画像再構成 / 脳神経外科 / コンピューター / 手術計画 / 手術シミュレーション / コンピューター外科 |
研究概要 |
現在までに種々の画像構成法が考案されているが、脳神経外科手術計画ならびに手術支援の目的にかなったものはまだ完成をみていない。手術計画においては必要な情報が過不足なく得られる想定術野画像が重要である。そこで本研究では診断画像から手術に必要な情報を抽出し、統合した至適な再構成画像を作成し、さらに手術シミュレーションをも行えるようなシステムを構築することを目的とした。まず、すでに公開されている種々の想定術野画像構成法を比較検討した。対象はMRのイメージング技術を利用したSAS法、ワイヤーフレーム法、ボクセルモデル法等である。このうちボクセルモデル法では最も詳細で、現実的な画像がえられた。しかし、膨大な画像データのハンドリングや、画像セグメンテーション法、表示のためのパラメータ決定法に難点があり、画像処理に長時間を要する。私達はこれら画像再構成法を比較検討する過程で極めて簡便に実用的な画像が得られる重畳法を考案した。本法は特別な機材を要さず、パーソナルコンピュータ上で市販の画像処理ソフトウエアを用い、5〜10スライスの通常のMR画像を単に深部から表層へ重畳するのみであり、習熱も容易である。本年度は特に脳神経外科疾患のなかでも脳機能領域の画像誘導手術に応用した。すなわち、重畳法で再構成した想定術野画像のうえで至適な手術法を検討し、手術室では画像を参考に術前検討どおりの手術を実現するよう努めた。その結果、37%の手術患者において術前の神経病状が消失あるいは改善し神経病状が多少なりとも悪化したのは15%のみであった。脳機能領域の手術は脳神経外科手術の基本ともいえるが、片麻痺や失語症など重要な神経欠落病状を合併することがままあり、従来難度のたかい手術のひとつとされてきた。しかし、本法により極めて精密な術前の手術シミュレーションが可能となり、より安全な手術への道が開かれたと考える。
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