研究概要 |
テ-パ-加工したポリエチレンをラット大腿骨に埋入し組織標本より骨接触率を計測した。また編み糸状のポリエステルをラット大腿骨に埋入し力学的評価をおこなった。これらの実験において、ともにリン酸基を有する高分子鎖の表面グラフト重合をおこなったものおよびさらにハイドロキシアパタイトを沈着させたものでは未処理のものと比較して有意に高い骨結合性を示した。骨髄細胞と高分子材料の複合化による骨形成に関する最近の知見として,フィルム状のポリエステル表面にリン酸基を有する高分子鎖のグラフト重合をおこない、さらにこの表面にて骨芽細胞の組織培養をおこなったところ、走査電子顕微鏡にて培養開始2週間後にポリエステル表面に高電子密度の薄層が形成されることが確認された。また骨髄細胞の組織培養によりin vivoでの骨形成(骨芽細胞活性)に匹敵しうる骨形成をin vitroで形成させうることを物理化学的,生化学的,遺伝子発現実験により確かめ、そのin vitroの骨形成が組織培養のシャーレ上のみならず種々生体材料上でも可能であることも示した。さらに非常に興味深いことであるが,このin vitroで形成された骨がin vivoへ移植されても旺盛な骨新生能力を示すことを確かめた。この様に骨髄細胞の複合化実験の基礎的解析もおこなった。また高分子材料の整形外科領域における臨床応用としてPLLA靱帯を膝関節靱帯損傷例に用い,いまだ術後短期間であるが良好な成績を得た。
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