研究課題/領域番号 |
06557088
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
野澤 志朗 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051557)
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研究分担者 |
杉原 圭亮 持田製薬株式会社, バイオサイエンス研究所, 試薬(研究員)マネー
青木 大輔 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30167788)
塚崎 克己 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40118972)
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キーワード | 子宮体癌 / モノクローナル抗体MSN-1 / 酵素免疫測定法 |
研究概要 |
我々は新たに開発したEmC-EIA Sandwich法の有用性を多数の臨床検体を用いて検討した。EmC-EIA Sandwich法は、子宮内膜検体における抗子宮体癌モノクローナル抗体MSN-1の認識抗原(主としてLewis^b型糖鎖)の量をSandwich酵素免疫測定法により測定し、その量的差異より正常内膜細胞と体癌細胞とを鑑別する方法である。正常内膜48例、内膜増殖症11例、子宮体癌45例(内膜腺癌:高分化型25例、中等度分化型11例、低分化型6例、粘液性腺癌3例)を用いて測定した結果、各内膜検体における陽性率は、正常内膜4.2%、内膜増殖症45.5%、子宮体癌66.7%であり、正常内膜検体に比べ子宮体癌検体で極めて高値を示した。また子宮体癌における組織分化度別の陽性率は、高分化型内膜腺癌76%、中等度分化型内膜腺癌72.7%、低分化型内膜腺癌50%、粘液性腺癌0%と、子宮内膜腺癌、特に高分化型内膜腺癌で高い陽性率を示した。さらに、細胞診とEmC-EIA Sandwich法を施行し得た子宮体癌症例30例において、両者の成績を比較したところ、細胞診判定が陽性であったもの19例(63.6%)、疑陽性と判定されたもの10例(33.4%)、陰性であったもの1例(3.4%)であった。一方、EmC-EIA Sandwich法で陽性値を示したものは19例(63.6%)であり、特に細胞診では体癌と診断し得なかった疑陽性以下の11症例中6例(55%)が本法で陽性値を示し、両者を組み合わせることにより陽性率は83.3%(25/30)に上昇した。しかも本法は、判定が数値示されるため客観性が高く、多数の検体を短時間(4時間)で同時に測定可能であり、測定手技が簡便でキット化に適するなど、スクリーニングに応用するためのすぐれた特徴を有している。 以上のことから、新たに開発したEmC-EIA Sandwich法は、子宮体癌、特に細胞診にてその判定に迷うことがまれではない高分化型内膜腺癌に対する、細胞診の補助診断法として有用であり、そのスクリーニングに応用可能であることが判明した。
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