眼圧カメラに、アルゴンレーザーを組み込み、そのレーザー光を家兎眼底に投射、得られたレーザースペックルパターンを同様にカメラ上部に組み込んだイメージセンサー(100×100pixels)上に結像させ、スペックルパターンのコントラストの変化度をNB値として定量化、更にNB値をカラーコード化して、モニターテレビ上に写し出す事のできる機器を試作する事に成功した。NB値は、網膜組織中の赤血球移動速度(血流速度)に比例するため、任意の測定域内の部位のNB値を別のプログラムにより計算させる事により、網膜内血流速度を得る事ができる。家兎眼における実験では、網膜NB値は、マイクロスフェア法により測定した網膜血流量と、よく相関し、更に眼圧変化に対しては、ほぼ一定に保たれる事がわっかた。この結果は、網膜NB値は、間違いなく網膜血流を測定している物であり、本機が、生体眼における網膜循環の、生理、薬理、及び病理の研究に大変有用である事を示唆した。臨床応用に更に優れたカルシウム拮抗剤の網膜抹消循環に対する効果を検討するためにlong acting Ca channal blockerであるプラニジピンの効果を家兎で検討したところ、既に昨年度に報告した諸剤と同様の(約15%増加)網膜血流増加作用が見られる事を確認した。更にカルシウム拮抗剤投与前後で本機による網膜末梢血流測定値とマイクロフェア法による結果を比較した所両者の値はよく一致し、本機がカルシウム拮抗剤の網膜末梢循環への効果を研究するに極めて有効であることを確認した。昨年度に報告した人眼網膜大血管(静脈)血流量測定法を更に改善し、より太い静脈(経80〜130μ^〜)も測定できるように、基礎実験をやりなおし、人眼網膜静脈血流速度を視神経乳頭付近でも測定出来るようにした。又高感度CCDカメラを観察系に組み込み照明なしで被験者に苦痛なく眼底を観察できるシステムを開発した。
|