研究概要 |
1.FAB MS分析同様,MALDI-TOF MS法においても,ミュータシンMT6223は分子量2700付近にイオンピークを示し,それ以上の高分子量イオンピークは検出されなかった. 2.50%酢酸を溶出液とするSepharose CL-6B Chromatographyを用いたとき,ミュータシンがナイシン(3.4kD)とトリプトファン(0.2kD)の間に溶出されることから、MS分析におけるミュータシンの分子量の結果が支持された. 3.150AUのミュータシンを用いたMS/MS分析の結果,フラグメントピークによる配列解析を行うのに十分なスペクトルは得ることができなかった. 4.文献検索上では,ミュータシンのN末端アミノ酸配列(Ala-Val-)に相当するバクテリオシンは未だ報告されていない. 5.ミュータシンは1M Urea存在下においても,S.mutans MT8148株に対する抗菌活性を失わなかったことにより,モノマーとして活性を示すものと思われる. 6.ミュータシン産生菌であるS.sobrinus MT6223株の単コロニー分離法により,従来よりも4倍高いミュータシン産生菌を単離できた. 7.この高産生菌を用いて,固体培養による培養条件の検討を行った.BHI寒天平板培地で37℃,2日間培養後,メタノール抽出を行った.濃縮によりメタノールを除去後,55%飽和硫安塩析および透析により,粗ミュータシン画分を調製した.本調製法により10L培養から360,000AUのミュータシンを確保することができ,従来に比較して5倍以上の高収率を得た.現在,構造解析用のミュータシンをこの方法により精製中である.
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