研究概要 |
口腔内におけるPorphyromonas gingivalis(Pg)の分布ならびに血清中抗体価との関連性について検討した。成人性歯周炎(AP)患者15名(男性6名、女性9名、平均53.8歳)、早期発症型歯周炎(EOP)患者8名(男性4名、女性4名、平均29.5歳)、健常者6名(男性3名、女性3名、平均37.2歳)の合計29名を被験者とした。Pgの検出はスルホン基による非放射性ラベリングによるwhole genomic DNAプローブ法によった。各被験者の全残存歯について1歯につき4部位から歯肉プラークサンプルを採取した。サンプルをフィルターにブロットし、P.gingivalis ATCC33277株より抽出した全染色体DNAのプローブとハイブリッドさせた。Pgの量は、同じフィルター上にP.gingivalis ATCC33277株を10^5,10^4,10^3個ずつブロットしたポジテイブコントロールと比較して、+++,++,+,-(>10^5,>10^4,>10^3,<10^3)の4段階で判定した。Pgに対する血清中抗体価の測定は各被験者より採血を行い、Pgの超音波抽出抗原に対する血清中IgG抗体価をELISA法により測定した。その結果、AP患者群およびEOP患者群すべてからPgは検出され、その検出率はAP患者群で平均31%(5-69%)、EOP患者群で平均49%(8-80%)、全体では平均37%であった。健常者群においてはPgは6名中3名から検出された。検出量の平均はAP患者群で3.26x10^5(4.00x10^3-1.61x10^6)、EOP患者群で9.56x10^5(1.60x10^4-2.52x10^6)であった。一方、抗体価の平均はAP患者群で10.73(7.56-12.76)、EOP患者群で10.70(9.33-13.26)、健常者群で8.27(6.73-10.52)であった。Pgの検出率、検出量と血清中抗体価との相関を統計学的に検討したところ、ともに有意な相関が認められた。
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