| 研究課題/領域番号 |
06557104
|
|---|
| 研究種目 |
試験研究(B)
|
| 研究機関 | 東北大学 |
|---|
研究代表者 |
渡辺 誠 東北大学, 歯学部, 教授 (80091768)
|
|---|
| 研究分担者 |
服部 佳功 東北大学, 歯学部, 助手 (40238035)
菊池 雅彦 東北大学, 歯学部, 助手 (60195211)
佐々木 啓一 東北大学, 歯学部, 助教授 (30178644)
|
|---|
| キーワード | 顎関節症 / 鑑別診断 / 病因診断 / エキスパートシステム / 咬合異常 / 耳鳴 / 感音性難聴 |
|---|
| 研究概要 |
顎関節症は、顎顔面領域に様々な症状を呈する疾患である。従って顎関節症と類似疾患との鑑別診断が必要である。また、その成因として咬合異常や心因性ストレス、ブラキシズムが考えられており、治療に際しては病因診断が重要である。これらの診断を正確に行うためには、多数の情報の統合および的確な判断を要し、必ずしも容易ではない。本研究の目的は、顎関節症の鑑別診断、病因診断を客観的に行いうる診断エキスパートシステムの開発である。
平成6年度、当科に新たに来院した約200名の顎関節症患者について、著者らが開発したプロトコールに基づき、その病歴、臨床症状をデータベースに新規に入力した。これまでの蓄積した約500症例のデータと併せることにより、臨床的に有用なデータベースが構築された。これを用いて咬合状態と臨床症状、隣接疾患と顎関節症との関連について種々の分析を試みた。その結果、前歯部開咬を有する顎関節症疾患では、一般的な被蓋関係を有する患者群と比較し、顎関節痛が有意に多く、一方咬筋部圧痛の有症率が有意に少ないことが明らかになった。これは顎関節症の発症メカニズムにおいて、歯列上の咬合点分布や顎顔面形態などの生体力学的要因が関与していることを示す。また上記来院患者の耳鳴、耳痛、耳閉感、目眩等の耳鼻科的症状を精査したところ、耳鳴を有する患者では有症側の聴力低下が多く認められ、一部症例では顎関節症症状の消退とともに聴力の回復を示した。しかし両側性感音性難聴が認められた耳鳴症例では、顎関節症症状消退後も耳鳴聴力に関しては明らかな変化は認められず、顎関節症に伴う耳症状とその他に原因を有する耳症状との鑑別を行う上での指標となりうる。次年度は、これらの知見をもとに診断基準を確立し、今年度購入したシェルを用いてエキスパートシステムを構築する。
|
