研究分担者 |
今井 豊 (株)津島製作所, 工業計測事業部, 主任
渡辺 賀靖 (株)津島製作所, 工業計測事業部, 部長
鱒見 進一 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (70181659)
細川 隆司 広島大学, 歯学部, 助手 (60211546)
赤川 安正 広島大学, 歯学部, 教授 (00127599)
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研究概要 |
我々は、顎関節部を連続的にBモード超音波断層撮影を行ない得られた画像情報をメモリに蓄積した後、コンピュータにより画像構築を行うことにより、矢状断を始めとするあらゆる方向の像が得られることに着目し、これを具現した顎関節用超音波CTの開発を進めることを目的として本研究に着手した。本年度は、初年度試作した超音波CT装置の基礎的評価を行った。評価のためのファントームとして,球状のゴムおよび複数の糸を平行に張って水中に沈めたものと、ヒト乾燥頭蓋骨を用い下顎を中心咬合位と思われる位置で固定した後,矢状方向を水平に右側を下にして水中に固定したものの2種類を作製した.前者のファントームでは,ゴム球全域を走査した後,ゴム球の直径を含む断層域を任意に設定し,画像再構築を行って得られた画像からひずみを計測した.また,複数の糸を用いて分解能を測定した.後者においては,左側顎関節部を前方より後方へ走査し,リファレンス画像上で再構築断層域および断層幅を設定し,像の再構築を行った。再構築画像の計測値は,プローブのスキャン方向を1とした場合,移動方向で1.15であり,再構築による画像のひずみが若干認められた.また,直径0.3mmの糸が描出できたが,プローブのスキャン方向と移動方向の分解能がそれぞれ2mmと3mmであったことから,解像度に比べ分解能がやや低いことが示された.頭蓋骨ファントームを用いたシミュレーションでは,矢状断像において断層域に応じて下顎頭,筋突起,下顎枝,頬骨弓および側頭骨の一部と思われる像が得られた.下顎頭関節面の描出は外側極を断層域とする再構築画像でのみ確認できた.関節腔は外側極付近でのみ空間として確認され,内側を断層域とする再構築画像ではあたかも下顎頭と側頭骨が接触しているように描出された.これは,超音波が骨表面で反射されたため関節腔内側まで画像表現ができないことによると考えられた.また,プローブの位置づけや超音波装置のわずかな設定の違いが再構築像に大きな影響を与えたことから,顎関節の描出に最も適した撮影条件については,さらに検討が必要であると思われた.
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