研究分担者 |
桂木 能久 花王(株), 食品総合研究所, 研究員
庄司 隆行 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (00241349)
柏柳 誠 北海道大学, 薬学部, 助手 (20169436)
松岡 一郎 北海道大学, 薬学部, 助手 (40157269)
三宅 教尚 北海道大学, 薬学部, 助教授 (30133771)
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研究概要 |
先に我々は,大豆由来のフォスファチジン酸と牛乳由来のβ-ラクトグロブリンからなるリポ蛋白質が,苦味を選択的に抑制することを見いだした.本研究では,まず各種の脂質と蛋白質を組み合わせたリポ蛋白質を作成し,苦味抑制効果を調べた.その結果,蛋白質としては,カゼイン,ラクトアルブミン,血清アルブミン等,いずれの蛋白質からなるリポ蛋白質も同等の苦味抑制効果を示した.蛋白質をβ-ラクトグロブリンに固定し,脂質の種類を変えたところ,苦味抑制効果はフォスファチジン酸>フォスファチジルセリン>フォスファチジルイノシトールの順であり,用いた他の脂質にはほとんど効果がなかった. 次に本研究で見いだした苦味抑制剤を,実用化するための基礎的研究を行った.フォスファチジン酸とβ-ラクトグロブリンは,調べたほとんどの薬物の苦味を効果的に抑制したが,フォスファチヂン酸単独でもかなりの薬物の苦味を抑制することを見いだした.苦味抑制剤の実用化を考えると,低コストであること,安定であること等から,フォスファチヂン酸を用いることが現実的であると結論した.フォスファチジン酸を粉末の薬物(主としてキニ-ネを使用)と混ぜて顆粒剤を作成したところ,薬物の苦味が著しく抑制された.また,フォスファチジン酸で表面をコートした顆粒剤は,従来のコーチング剤よりはるかに少量で苦味を抑制した.さらに,フォスファチジン酸を液剤に添加すると,苦味が効率よく抑制された.以上のように,フォスファチジン酸は,安全で低コストの苦味抑制剤として実用化される見込みがついた.
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