研究概要 |
1、アミノ糖(グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン)の6位に長鎖アシル基を結合させたアシル化アミノ糖を合成し、これらのCMC、pKaを測定した。レシチン2分子膜にこれらアシル化アミノ糖を種々の濃度で添加したカチオンリポソームを調製し、その表面電位を測定した。膜中濃度に依存して正の表面電位は増加した。またこれらリポソームはラット血清中で安定であった。また膜中に20mol%アシル化アミノ糖を含む10mM(総脂質量)のカチオンリポソームは溶血性を示さなかった。マウスを用いた実験では急性毒性は小さいものであった。ラットを用いた体内動態の測定から肝臓への集積性が小さいこと、血中滞留性が大きいことがわかった。ラットを用いた肝臓灌流実験から血球との弱い相互作用により細網内皮系による異物認識から逃れる、血中滞留性の増大が起こることを明らかにした。(Jnt.J.Pharm.115,183-191(1995)) 2、ラット大腿部動脈よりカテーテルを挿入し、左頚静脈を擦過して、内皮細胞を破壊した血管損傷モデルラットを作り、尾静脈より色素マーカー内封リポソームを投与し、未損傷部位及び損傷部位のリポソームの集積性を検討した結果、未損傷部位に比べて損傷部位では約20倍の集積性が認められた。また、中性リポソームでは両部位に差はなく、未損傷部位と同程度であった。このリポソームをPEG修飾することにより血中滞留性はさらに増大した。損傷部位への高集積性の原因として、血管内皮膜に存在するプロテオグリカン、酸性ムコ多糖の関与が推定された。(日本薬学会第115年会(仙台)で発表予定)
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