研究概要 |
【目的】セリンアセチル転移酵素(SATase)は、システイン生合成系においてシステイン合成酵素(CSase)基質であるο-アセチルセリンの生成を行う酵素であり、生合成系全体の制御に関わっている。演者らは、既にホウレンソウのCSase cDNAのクローニングを行い、CSaseは、少なくとも細胞質および葉緑体に異なったアイソザイムとして局在している事を明らかにした。そこでSATaseについても異なるオルガネラに局在するアイソザイムの存在の可能性を考え、cDNAクローニングを行った。 【方法と結果】λgt10により作製したホウレンソウ緑葉cDNAライブラリーについて、スイカSATase cDNAをプローブとして160,000クローンのスクリーニングを行った。その結果、6個の陽性クローンが得られ、これらはクロスハイブリダイゼイションによって4グループに分類された。そのうち最も強くスイカSATase cDNAとハイブリダイズするグループについて解析を進めた。その結果、このグループのクローンpSAT54のcDNAは、塩基配列において約70%、ORFのアミノ酸配列において約76%、スイカSATase cDNAとの相同性が認められた。また、大腸菌SATase(cysE)との間にもC末端側のアミノ酸配列に相同性の高い領域が存在した。さらに、SATaseに特徴的なアセチルCoAの結合部位と予想されるアミノ酸配列も保持されていた。現在、他の陽性クローンについても検討中である。
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