研究課題/領域番号 |
06557142
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
安岡 劭 徳島大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30035414)
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研究分担者 |
山岡 一良 帝人(株), 生物工学研究所, 研究員
益田 賢一 帝人(株), 生物工学研究所, 研究員
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キーワード | 気道トリプターゼ / 気道トリプターゼ遺伝子 / リコンビナント気道トリプターゼ / インフルエンザウイルス / 慢性気道疾患 / 喀痰 |
研究概要 |
1.遺伝子工学的研究: 1)慢性気道疾患患者の喀痰から単一までに精製したヒト気道トリプターゼ(HAT)のN末端のアミノ酸配列(20残基)をもつペプチドを合成し、これを基にDNAプローブを合成した。このプローブを用いてヒト気道由来DNAによりcDNAのクローニングに成功した。この遺伝子の塩基配列からHATのアミノ酸配列を推定した。その結果、HATには分子量約47,000の前駆体(HAT precursor)が存在することが予測された。この予測のもとにヒト気管組織抽出液を分析し、未処置の抽出液にはHAT活性が検出されず、一定の処理によりHAT活性が発現した。昨年度の成績と今年度の成績を総合し、気道粘膜下の漿液腺でHAT precurssorが合成され、これが気道粘膜に分泌される過程で活性化されると考えられた。 2)HATの遺伝子を用い、大腸菌によるrecombinant HATの合成に成功した。 2.インフルエンザウイルスに対する作用: native HAT、recombinant HATの両者を用いインフルエンザウイルスの増殖(感染性)に対する影響をin vitroで検索した。その結果、文献に一致し膵トリプシンが本ウイルスの感染性を増強するのに対し、両HATともに本ウイルスの感染性を抑制した。この作用機構は未解決である。 3.recombinant HATに対する複数の抗体を作成し、これを用いるHATのELISAを考案した。本ELISAでヒトの気管支洗浄液と喀痰中のHAT量を測定した結果、多くの慢性気道疾患では気道からのHATの分泌は正常状態に比し亢進していると推定された。この過剰に分泌されたHATが慢性気道疾患の病態を増幅的に働いている可能性も予測された。
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