近年、生活環境全般にわたる機械化のため運動不足などの弊害が現われ、また一方、種々の疾患について、運動療法の効果が重視されてきている。ここにおいて的確な運動処方の提示が望まれるが、そのためにはまず個々人の日常生活における運動強度と身体活動量の測定が必要であり、処方された結果についての測定もまた必要である。これには、心拍数または歩数だけの測定からエネルギー消費量等を推定する方法も考えられるが、両者に加え、体温、身体活動量(物理的仕事量)を同時に測定することにより、さらに精度の高い数値が得られる。 そこで、さきに本研究代表者の開発した心拍数、体温、歩数記録装置をさらに改良し、心拍数、体温、歩数、身体活動量を同時に34時間にわたって1分ごと連続的に測定し記録することのできる携帯式の装置を試作した。心拍数は、胸部より心電図を誘導し、アクティブフィルタによってR波のみを選択的に増幅し、コンパレータとモノステーブルマルチバイブレータを用いてこれをパルスに変換し、体温は、サーミスタの抵抗値を周波数に変換し、歩数は、身体の上下動に起因する衝撃センサの出力を、アクティブフィルタ、コンパレータおよびモノステーブルマルチバイブレータに入力してこれをパルスに変換し、並行してこのセンサによる出力を、整流回路、ついで積分回路に入力し、身体活動量をも測定できるようにした。パルスに変換されたデータをカウントしメモリICに記録するために、マイクロコンピュータを搭載することによって、デジタル回路が簡素化され超小型で安価な装置となった。 この装置の開発により、エネルギー消費量を従来の方法によるよりも高精度に求めることができるようになった。
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