研究課題/領域番号 |
06558038
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
益田 隆司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80114130)
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研究分担者 |
千葉 滋 東京大学, 大学院・理学系研究科, 学振特別研究員
猪原 茂和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30251391)
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キーワード | 分散処理 / 自己反映計算 / C++ / 言語拡張 |
研究概要 |
本年度には、昨年度までに検討した理論的なモデルにもとづき、より実用に近いOpenC++の処理系の開発をおこなった。これにより、本試験研究のもっとも大切な目標が一応の達成をみたといえる。この結果、コンパイラ系の言語に対して自己反映計算のシステムをあたえることに成功した。これは、従来、自己反映計算の欠点とされてきた実行時性能の低下を、コンパイル技術によって回避できるようになったことを意味する。我々は、これらの成果を論文にまとめ、自己反映計算の処理系の実行効率の改善について、ひとつの一般的な解決方法を示した。この論文は国際的に高い評価を得ることができた。本論文で示した解決方法が今後主流となるかは不明であるが、ひとつの重要な方法として認知されることを期待している。なおこの解決方法は、計画当初に予期していた方法とはまったく異なるものであった。計画当初では、部分評価(partial evaluation)による方法が有望との考えをもっていたが、最終的に得られた方法はこれとは異なる。 さらに本開発の初期段階で、前年度に研究した理論モデルの欠陥が発見されたため、一旦開発を中断し、理論モデルの修正をおこなった。修正はすみやかにおこなわれたが、開発計画が多少の遅れをきたした。本年度末現在、開発したOpenC++の処理系の完成度が一般に配布するにはまだ充分でなく、計画通り来年度初頭から配布することは難しい。しかしながら、この開発の初期段階でみつかった欠陥について、原因の検討をおこない、得られた知見を一般化し、国際会議で発表した。この論文では、自己反映計算にもとづく処理系一般がおちいり易い欠陥を指摘し、それを回避するための設計指針を述べた。この知見は、本研究計画の目的とは直接関係はないが、重要な知見であると思われる。
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