研究概要 |
本年度は、昨年度までに開発したOpenC++の処理系をインターネットを通じて一般公開した。公開に先だち、一般に広く使われている計算機上で問題なく動作するように、細部の調整をおこなった。この結果、SunOS 4.x、Solaris 2.x、Linux,NetBSD、FreeBSDで動作するようになった。さらに、添付マニュアルを整備し、代表的なサンプル・プログラムなども、いくつか用意して利用者の便宜をはかった。公開された処理系は、ヨーロッパおよび国内の研究グループから少なくとも10件以上の引き合いがあった。また一部には、公開された処理系を、自分たちの研究の道具として活用しているグループもあるようである。 また、OpenC++の応用分野を開拓するため、さまざまな実験をおこなった。実験は大きく、インタフェースなどを改善した使いやすいクラスライブラリの作成と、正規のC++で記述されたものより実行効率のよいクラスライブラリの作成にわけられる。使いやすいライブラリについては、分散オブジェクト・ライブラリや、GUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)ライブラリなどを作成した。前者は、通常技術のスタブ生成器を内包しており、クラス定義をするだけで分散オブジェクトが利用できるライブラリで、後者は使いやすいという定評のあるTcl/tkシステムをC++から自然に利用するためのライブラリである。実行効率のよいライブラリとしては、ベクター・ライブラリやSTL(標準テンプレート・ライブラリ)などを作成した。これらのライブラリはC++言語ではよく使われるが、あまり実行効率がよくない。だが、OpenC++を使って同様のライブラリを実装すると実行効率を改善できることを示した。
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