研究概要 |
本研究の研究成果は大きく分類すると次の3つになる.(1)概念スキーマモデル機能の試作(シングルスレッド)(2)概念スキーマモデル機能の試作(マルチスレッド)(3)概念データモデルの標準案に対する基本的アプローチの検討 (1)は本研究の中核をなすもので必ずしも有限とは限らないメタデータ構造を有するデータモデル機能を試作した.使用言語はPrographで,成果については論文等で海外のシンポジウム,単行本で成果を公表した. (2)は同じ機能をオブジェクト指向プログラミングによって指向したものであったが,結果的には期待された成果を得ることができなかった.実装をマッキントッシュ上に試みたのであるが,オブジェクト指向プラットフォームのSOMが,十分安定していなく悪戦苦闘を強いられることになった. 当初オブジェクト指向データベースNeoAccessを使用して実装を試みたが,これも自由に走らせるのは至難の技で途中で方針を変更せざるを得なくなった.一種のDBMSを作成する作業内容となったがベーシックなオペレーティングシステムのコマンドをマルチスレッド環境で動作させる必要があり原因不明のバグが最後まで取り切れなかった. (3)本研究と平行して国際標準化の舞台に当研究の土台となったCSMFを提案したが,これも最後まで各国の専門家を説得することができなかった.分かったことは我々にとって互いに理解しあうことができるモデルも,複数の国の専門家には必ずしもすぐ受け容れられるものではないということである. 最後の拠り所は数学の分野で広く受け容れられているものしかないということが見えてきたので,概念スキーマモデル機能の基礎としての概念データモデルを述語論理と集合論で基礎付けることに関心が移った.この範囲では推論の完全性あるいは不完全性が理論的にできあがっているので,合意を得るのがより容易である.
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