研究分担者 |
村上 和彰 九州大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (10200263)
最所 圭三 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (50170486)
吉田 紀彦 九州大学, 工学部, 助教授 (00182775)
高木 利久 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30110836)
荒木 啓二郎 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (40117057)
|
研究概要 |
本研究の目的は,高度情報処理のための柔構造を有する統合型システム・ソフトウェアを研究・開発し,高度並列処理を推進することにある.今年度においては,以下の成果が得られた. (1)並列オペレーティング・システム K1プロトタイプの構築 メッセージプールをベースにした並列オペレーティング・システム K1を開発した.メッセージプールは,カーネル内タスクおよびシステムサーバ間の通信機構を提供するものであり,本機構により,OS負荷の自然な分散が実現できる.メッセージプールは,マルチキャスト通信もサポートしている.K1をマルチプロセッサ・ワークステーションに実装して,その基本的な性能を評価した.その結果,K1が提供するマルチキャスト通信が有効であることを実証した. (2)並列化コンパイラ・システムの研究 大規模マルチプロセッサ・システムでは,データ分割・配置がシステム性能に致命的な影響を与える.そこで,データ分割・配置に関する研究を行った.具体的には,データ分割・配置のベースとなる中間表現形式DPG(Data Partitioning Graph)を提案し,その上でのデータ分割アルゴリズムDCP2を考案した.また,従来は並列化が困難であった,線形依存ベクトルをもつループにおいて,ループ内並列化手法を開発した.さらに,現有の並列化コンパイラにおいて,内部中間表現の統一,オブジェクト指向による書き換えなどの再構築を行い,見通しのよい構造にした.また,次世代並列化コンパイラに向けて,オブジェクト指向によるコンパイラ・システムの構成法を研究し,そのプロトタイプをマルチプロセッサ・システムに実装した.
|