研究分担者 |
中藤 哲也 九州大学, 工学部, 助手 (20253502)
日下部 茂 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助手 (70234416)
鶴田 直之 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助手 (60227478)
峰 恒憲 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 助教授 (30243851)
谷口 倫一郎 九州大学, 大学院・システム情報科学研究科, 教授 (20136550)
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研究概要 |
本年度の研究業績は以下の通りである. ・マルチメディア指向超並列計算機KUMP/Dの細粒度並列計算機としての性能評価: KUMP/Dは市販CPUと細粒度メッセージ処理を高速に行うFMP(Fine-grain Message Processor)で構成される並列計算機であるため,FMPのメッセージハンドリング能力をメモリバスの使用頻度に着目して評価した. この評価では,比較の対象として現在最も優れたメッセージハンドリング能力を持つアーキテクチャの一つであるDatarol-IIプロセッサを用いて各メッセージについて検討した.この結果KUMP/Dのプロセッサエレメントは専用設計のプロセッサであるDatarol-IIとほぼ同等のメッセージハンドリング能力を持つことを示した.また,機能レベルのシミュレーションによって単純なプログラムを評価し,これを確認した. ・KUMP/Dの試作: さらに,上記の評価に基づき,KUMP/Dのプロセッサボードを設計してプリント基板を試作し,CPU回りとFMPについてデバッグを行った.この試作ボードではCPUとしてIntel社のPentium(75MHz)を使用し,FMPは試作機としての特性上回路設計の容易さと仕様変更等に対応しやすい構成を考慮し,FPGAを用いて設計した.各部の設計においては,特に上記のメッセージハンドリング能力の向上のためバスの使用頻度に留意し,FMP及び二次キャッシュメモリについて回路の最適化を検討した. ・細粒度並列言語の開発: 上記並列計算機上に並列処理言語Vをを実装するために,基本メッセージ発行,スレッド管理,メモリ管理のためのライブラリを製作した.また,これらのライブラリの実行速度,メモリ仕様効率等を評価した. ・画像入出力機構の評価環境の設計: 並列マシンで画像を生成し評価する場合,各プロセッサの同期及び処理落ちによるノイズの低減が重要である.これを評価するために汎用ワークステーション上で様々な画像表示方法をシミュレートし評価する方法について検討した. ・KUMP/Dのマルチディアマシンとしての性能の評価: 以上の検討をふまえ,マルチメディアマシンとしての性能評価を行うために,画像処理用のフィルタの例として領域分割フィルタ,細線化に用いられるCannyフィルタ等を,また画像生成プログラムの例としてポリゴンレンダリングにおけるジオメトリ変換,テクスチャーマッピング等を用いて処理能力を予想した.評価はハンドコンパイルしたコードを用いて行い,NTSCレベルの画像を扱う場合は16台構成時の試作機においても実時間動画処理に十分な性能を持つことを確認した.
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