研究概要 |
RS及びGIS技術を活用した水害危険度判定システムの開発研究の初年度として、平成6年度には以下に示すような研究を行った。 洪水災害軽減のために、広くかつ効果的に活用できる汎用型の洪水予測モデルを作成するために、まずARC/INFO,ERDAS,ORACLEによる情報データの互換性をとる変換プログラムを作成し,これらのデータを用いた災害情報システムを構築した。次にこの災害情報システムを用いて,フィリピン・ルソン島のアグノ川流域を対象として収集した.気象・水文・地形・土地利用などの情報をデータベース化し,汎用型の洪水予測モデルをつくった。その結果、収集したデータの精度や洪水予測モデルの予測精度など、今後さらに検討すべき点はあるが、本研究で開発した災害情報システムを用いた洪水予測モデルが、実用的に活用できる見通しが得られた。上記のように、本研究の進行状況は概ね良好であり、当初計画した予定に従って順調な成果を出している。しかし、平成6年度の研究を通して、以下のような問題点が浮び上がって来たので、ここでその問題点を整理し、平成7年度の研究によっていかに解決して行くかその予定を記す。 様々な観測データや計測データが整っているという理由から選定した、フィリピン・ルソン島のアグノ川流域であるが,収集した気象・水文・地形・土地利用などのデータの一部は、必ずしも十分な精度を有していないことが判明した.データの精度が高くないと、災害情報システムを用いた洪水予測モデルの精度や有用性が満足に議論できない。平成7年度は、地域は狭いが精度の保証されたデータを用いてまず、洪水予測モデルのキャリブレーションを行う。次に、キャリブレーションされた洪水予測モデルを用いて、フィリピン・ルソン島のアグノ川流域のデータの見直しを行い、精度の向上をめざす。
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