1)雲仙と奥尻の2+Kタイプで満足度をみると雲仙の場合、不満を感じている戸数は82%、奥尻の場合61%で、雲仙の方が不満を感じている世帯の割合が高い。2+Kタイプで平均居住人数が雲仙では3.26人であるのに対し、奥尼では2.5人。また、雲仙の2+Kタイプ居住者の平均年齢40.1歳であるのに対し、奥尻では57.34歳である。雲仙の場合、1世帯あたりの居住人数が多く、さらに世帯主の平均年齢が40.1歳と学校に通っている子供が有る世帯が多いことが不満の高い原因であると考えられる。さらには、調査時期が雲仙の場合入居後、平均1年後であるのに対し、奥尻の場合、4カ月後と入居期間に差があるのも一つの要因であると考えられる。 2)収納に関しては、奥尻・雲仙共、不満の割合が高い。しかし、仮設住宅だけで収納することが出来ない世帯の割合は、雲仙が93.5%であるのに対し、奥尻では73%である。奥尻の場合、津波で家財道具を住宅と共に失ったのに対して、雲仙の場合は、家財道具を持ち出すことが出来たことができた為である。収納の問題は、災害のケースによって対応を変える必要がある。雲仙のようなケ-では、収納の問題はより深刻であり家財道具の保管場所を考慮に入れる必要がある。 3)使い方に関しては、2+Kタイプの場合、雲仙、奥尻とも台所に隣接した部屋が食事室・居間として利用されている。3+Kタイプでは雲仙の場合は、台所を通路空間として利用することにより独立した部屋が有るのに対し、奥尻の場合は1列に部屋が並んでいる為、中の間が通路として利用されてしまう恐れがある。 4)居住水準に関しては、主寝室と食事室の分離が島原の場合で半数以上、奥尻の場合で20%の家庭で為されていない。雲仙・奥尻のケースから考えると2+Kタイプで3人まで、3+Kタイプでは6人までが、望ましい居住人数であると考えられる。また、居住人数に関しては、学校へ通う子供の有無等の家族の年齢も考慮に入れなければならない。 5)住性能に関しては、靴脱ぎ場や風呂といった日本の住様式の特質が不満として出てきている。 6)こうした問題点を踏まえて、今後の応急仮設住宅は供給されていかなければならないが、応急仮設住宅では供給システムも大きな問題である。プレハブによる住宅建設だけでなく、空き家の登録システムやトレーラーハウスの利用等も含めた多様な住宅供給が求められる。
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