研究概要 |
1.サブミリ波ジャイロトロンの高周波化・高性能化の研究 (1)12T超伝導マグネットを用いたdemountable型ジャイロトロン(GYROTRON FU III)を完成し,サイクロトロン基本波動作で314GHzまで,2次高調波で636GHzまで,3次高調波で461GHzまでの高周波化を達成した。また,17T超伝導マグネットを用いたジャイロトロン(GYROTRON FU IV)を製作し,2次高調波で850GHzまでの高周波化を達成した。この周波数は,ジャイロトロンの高周波動作に関する世界最高記録であり,分子レーザーの発振周波数にせまるものである。今後,このジャイロトロンを3次高調波で動作させることにより,さらなる高周波化を達成する予定である。 (2)ジャイロトロン出力の高性能化を達成して,サブミリ波散乱計測のための有用な光源とするために,高調波での単独動作を可能にした。また,パルス幅0.6秒までの長パルス化,出力の振幅変調と周波数変調を可能にした。 2.サブミリ波ジャイロトロンを光源とする散乱計測装置の高性能化のための伝送系の開発 (1)サブミリ波ジャイロトロンの出力を楕円筒面と放物筒面を併用した準光学的アンテナによって集光した後,収束点近傍に円形導波管をホーンとして置き,導波管内にガウシャン・モードを励起して伝送するシステムを製作し,実際に福井大学のGYROTRON FU IIに適用して,ジャイロトロン出力をプラズマに有効に結合させる方式を確立した。 (2)また,上記のアンテナと準光学的ミラー系を用いて,純粋なガウシャン・モード・ビームを生成し,プラズマへ高効率で結合させるためのシステムを設計し,製作した。今後,このシステムをサブミリ波ジャイロトロンと共に用いて,プラズマのサブミリ波散乱計測装置を完成させる。 (3)本研究によって開発したジャイロトロン(GYROTRON FU II)と伝送系を用いて,プラズマ散乱計測装置を構成し,核融合科学研究所のヘリカル装置CHSに設置して,低周波密度揺動の検出に成功した。
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