研究課題/領域番号 |
06558071
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉崎 昌和 九州大学, 工学部, 教授 (10037905)
|
研究分担者 |
波多野 雄治 九州大学, 工学部, 助手 (80218487)
橋爪 健一 九州大学, 工学部, 助教授 (70243912)
|
キーワード | 軽水炉燃料 / 乾式貯蔵 / ジルカロイ / 水素化物 / シャルピー試験 |
研究概要 |
ジルカロイ被覆管中のジルコニウム水素化物の乾式貯蔵条件下における析出・再分布挙動をコンピューター解析した。この解析には我々が従来より測定しているジルカロイ中の水素同位体の輸送熱のデータを使用した。また、この際、乾式貯蔵施設に搬入されるまでの水素化物の分布状況が初期条件として必要になるので、原子炉で使用中に被覆管に吸収される水素量およびその分布状況を加圧水型および沸騰水型軽水炉の温度条件で種々の燃焼度、水素吸収率についてコンピューターシミュレーションを行った。このシミュレーションの結果、水素化物を被覆管外側に偏って析出し、使用初期の水素化物の析出には温度勾配を駆動力とする熱拡散が大きく効いてくるが、燃焼が進行し水素吸収量が増大してくると熱拡散の寄与は小さくなることを見いだした。このように水素化物が不均一に分布した試料を乾式貯蔵した場合の水素化物の再分布の経時変化をコンピューター解析した結果、通常の乾式貯蔵温度条件下では水素化物の分布状況はほとんど変化しないという結果が得られた。なお、この結果の妥当性については現在検討中である。また、ジルカロイ-2(長さ50mm、断面10mm×5mm)に100ppmおよび400ppmの水素を気体吸収法により溶解し、温度勾配下において水素再分布の実験を行った。形成された水素化物の分布状況を走査型電子顕微鏡で観察した結果、コンピューター解析の結果と良く一致していることを確認した。また、これらの試料についてシャルピー試験を行った結果、水素化物が試料中に均一に析出している場合に比べて、水素化物が不均一に析出している場合の方が脆化の程度は小さくなるという効果が得られた。
|