研究概要 |
本年度は第1に,半導体材料の輸送計数を測定するための実験装置の設計と製作を行った。これは磁場中で材料に温度差を作り,それによって発生する電場などを測定する装置であるため,測定資料を真空断熱した容器の中に設置し,それに磁場を印可する方式を取っている。従って,加熱装置,冷却装置,超伝導マグネットを備えている。また,実験を行いやすくするために,資料を容易に交換できる構造を持ったことが特徴である。また,このために,実験室の整備を行った。 また,この基礎研究の最終的な目的である核融合炉でのエネルギー変換及び一般民生用での高効率の直接エネルギー変換を行うために,核融合研究で開発された高熱流束機器材料の一つであるカーボン系材料を用いた熱電変換を行う素子の提案を行い,その変換効率及び民生機器での用途について提案を行った。具体的にはボロンカーバイト(B_4C)はP型半導体で高融点材料であり,非常に高い熱電能率を持っているので,これと組み合わせるN型半導体としてカーボンがある。カーボンは熱電能率は高くないので,今後良いN型半導体を探すことが重要であることを指摘した。以上の内容は昨年8月にドイツで開かれた国際会議(18th Symposium on Fusion Tech.PA‐024)で発表した。 更に,上記発表の延長として,プラズマ核融合学会でこの研究の位置づけを行った。具体的には,高温材料での発電(これは現在の発電プラントが水を利用しているため,566℃以上の熱サイクルを利用していない)では,プラズマや火力発電所のボイラーの炎などの高温から566℃までは低い変換効率であっても従来のシステムと組み合わせればシステム全体の発電効率が向上することを指摘した。
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