研究概要 |
初年度は,安価で普及しやすく,しかも簡易で正確な測定値が得られるパッシブ・サンプラーの開発が急務と考え,Yanagizawa方式によるNOx,SOx同時測定パッシブ・サンプラーの開発に焦点を絞り,発生源が多様な空間での環境モニタリングに役立つシステム構築について検討した。SO_2用パッシブ・サンプラー開発は,フィルターバッジ方式で行い,トリエタノールアミン(TEA)吸収-バリウムースルホナゾIII発色法,過酸化水素(H_2O_2)吸収法,並びに酸化鉛(PbO_2)法を実験的に検討した。本年度に得られた結果は以下のとおりである。 1)TEAを含浸したフィルターバッジを用い,バリウムースルホナゾIII法による比色分析を検討した。SO_2ガスをフッ素樹脂膜からなる拡散層を透過させ,TEA吸収によりサンプリングした後,H_2O_2で酸化し硫酸イオン(SO_4^<2->)に変換する。SO_4^<2->とバリウムースルホナゾIII錯体とを80%エタノール水溶液中で反応させ,硫酸バリウム沈澱生成により発色させて検出した。ところが,SO_2はフッ素樹脂膜や装置内壁に吸着されることが風洞実験で明らかとなり,フッ素樹脂膜を5枚重ねるとSO_2はほとんど透過せず,1〜2枚ならSO_2を測定可能ことが実験的に分かった。しかし,風速4m/sでの測定への影響を±20%以内に迎えることは難しく,風速2m/s程度を適用上限に設定する必要がある。TEAによる発色妨害なども考慮しながら,NO_2,SO_2同時にサンプリング/分別分析法の確立を目指し研究を継続している。 2)H_2O_2を含浸した無機系ヒドロゲルを吸収剤とするNOx,SOx同時サンプリング/分別分析法で,フッ素樹脂膜より問題が少ないと思われるポリプロピレン薄膜(ジュラコン)を用いて分子拡散層を形成したパッシブ・サンプラーを試作するための基礎検討を実施した。 3)PbO_2微粒子をフィルムに蒸着したものを作製し,SO_2と反応したPbSO_4量をク-ロメトリーで検出する方法について,試作開発を引続き検討の予定である。
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