研究概要 |
■高角傾斜可能な対物レンズの制作、効果的な試料汚染防止装置の制作、新しい最小電子線量撮影キットの開発は完了し、現有の電界放出型電子顕微鏡(HF-2000,日立製作所)にこれらの装置を装着した。高角傾斜可能な対物レンズは、目的とする分解能(0.2nm)を達成しており、ときには更に良い像を与えている。新しい最小電子線量撮影キットは正常に作動している。試料汚染防止装着はビーム位置の安定性を損なっている恐れがあり、特にこの点について詳しく検討している。 ■画像解析システムを発展させて、傾斜像シリーズからの三次元像再構成を短時間で出来るようになった。これは、現有のワークステーションをもちいて、これまでC言語で書いてきたプログラムを改良したものである。 ■アンデカゴールド(Au_<11>)を傾斜像シリーズの共通のはっきり見える基準マーカー(fiducial Marker)としてアラインする方法を開発する事を目的としているが、プログラムは完成しコロイダルゴールドを基準マーカーとして用いた場合はうまくゆくことが分かった。現在、より信号/雑音比が悪い場合の振る舞いを吟味している。 ■ディクチオ型粘菌の遺伝子操作により、ミオシン重鎖のN端近傍(Asp5)にシステインを導入し、金原子クラスター(Au_<11>)を標識し、その位置をクライオ電子顕微鏡法によって三次元的に決定することができた。現在はアクチン遺伝子を改変してシステインを特定の部位に導入することを目的として、まず現存のアクチン分子にある反応性システイン(Cys374)をアラニンに変えた改変アクチンを精製し、マレイミド試薬にほとんど反応しない事を確認している。この改変遺伝子に、新たに反応性システインを導入し、改変アクチンを精製している。
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