研究課題/領域番号 |
06558106
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
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研究分担者 |
須川 誠 中外製薬, 研究主査
松本 二郎 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (80051241)
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80200484)
武田 泰生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60245462)
阿相 晧晃 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30104160)
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キーワード | 細胞接着蛋白 / L1 / PO / 脊髄損傷 / 神経線維の束化 / アストロサイト |
研究概要 |
免疫グロブリンスーパーファミリーに属する神経組織の細胞接着蛋白群の構造と機能の解析を行ない、これらの遺伝子/蛋白群による、障害時の機能回復など臨床応用の可能性を検討した。1)培養L細胞にL1cDNAを導入し、細胞膜にL1蛋白を発現する細胞系を確立し、L1発現細胞は同種性の細胞接着作用、神経突起伸展、神経細胞移動促進作用を示すことは既に報告した。成熟ラットの脊髄損傷モデル動物を作成し、L1発現L細胞を損傷部位に移植し、損傷部位における神経突起伸展促進作用を検討した。その結果、損傷部位の反応性アストロサイトの出現状況は移植によって影響を受けなかったが、損傷部位への下降性神経線維の突起伸展は移植によって明らかに促進された。今後さらに長期に亘る機能回服の検索を行なう予定である。2)細胞毒性を減弱させた、L1cDNAを含む変異ヘルペスウイルスベクターを初代培養アストロサイトに感染させたL1発現細胞の作成を試み、脊髄損傷部位への移植による神経再生効果を検討中である。3)L1は210kDの高分子蛋白質であるが、蛋白分解酵素の作用によって、細胞外に放出される140kDの分子と膜貫通部位を含む80kDの分子が産生される。L1は分子全体としては神経線維の束化を促進するが、切断された80kDの分子は脱束化を促すことが明らかとなった。80kD分子は発育期に時期特異的に出現することから、この脱束化作用は前シナプス形成期の標的認識に関与する可能性が示された。4)末梢神経ミエリンの主要蛋白のPOを強制発現させた培養細胞は強力な同種性の細胞接着作用を示すと共に共培養した場合、後根神経節神経細胞および大脳皮質神経細胞に対し神経突起伸展促進作用を示した。POの細胞接着作用を示す活性部位は糖鎖結合部位とその近傍であるが、神経突起促進作用とは異なる可能性が示唆された。
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