研究概要 |
本研究で以下の結果を得た. 1.ガラス基板上に,幅10μm,長さ3mmの微小バンド状電極が2-6本配列したマイクロアレイ電極に疎水化処理を施し,次いでピロールの重合,さらにペニシリナーゼ薄膜を被覆することにより,ペニシリナーゼ/ポリピロール被覆アレイ素子を作製した.溶液中のペニシリンが存在する場合には,ポリピロールの導電率が増加し,この素子はスイッチ挙動を示した. 2.同様の方法で,マイクロアレイ電極上にポリピロール薄膜を電解重合により作製し,その上をさらにグルコースオキシダーゼ薄膜で被覆した.溶液中にグルコースを共存させた場合の挙動に関して検討したところ,グルコースが存在する場合には,酵素反応によりポリアニリン膜の導電性が増加し,この素子はスイッチ様の動作を示すことが確認された. 3.生体内への適用を目的とし,カーボンファイバー先端部にNiポルフィリンを固定することによりNOマイクロセンサ作製した.このセンサをラット脳内の海馬部に固定し,メチルアスパラギン酸投与したところ,スイッチ様の応答が認められ,スイッチ素子への展開の可能性が示された. 4.金マイクロディスク電極上に,カタラーゼトスーパーオキシドディスムターゼを固定し,スーパーオキシドセンサを作製し,これをラット脳内の線条体に固定することにより,脳内スーパーオキシド濃度の計測に成功した.ラットを純酸素雰囲気化におくと,酸素ストレスにより脳内スーパーオキシド濃度が増加し,このセンサはスイッチ様の応答を示した. 4.マイクロ電極先端部にNiポルフィリンを固定したNOマイクロセンサおよびスーパーオキシドディスムターゼ/カタラーゼを固定したO_2を作製した.これらセンサをラット脳内に埋め込むことにより,生体内のNOおよびO_2の濃度計測に成功した.
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