研究課題/領域番号 |
06558129
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30163801)
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研究分担者 |
松本 健志 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 講師 (30249560)
後藤 真己 川崎医療短期大学, 医用電子技術科, 助教授 (50148699)
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 助手 (00210279)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10152365)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
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キーワード | 動脈硬化の局在化 / 局所血流 / 正常LDL / 変性LDL |
研究概要 |
内皮は、最近、生理活性物質の合成、放出による血管トーヌスの調節作用や、血流によるずり応力を検出するメカノリセプタの存在などにより、多くの研究者の興味を引きつけている。血管内皮・平滑筋や結合織からなる血管壁は血流調節をになうとともに、脂肪の蓄積により動脈硬化の発症する場である。その過程は中膜に存在する変性LDLをマクロファージが貧食し、泡沫細胞となる。この変性LDLは、正常LDLが中膜に入って酸化を受ける場合と血中の変性LDLが中膜に入ってくる場合の両方が考えられる。本年度は、動脈硬化好発部位、非好発部位で正常LDLと変性LDLの動態がどのように異なるかを解析することを目的とした。 ラットを麻酔し蛍光色素DiOまたはDiIで標識した正常LDLまたは変性LDLを尾静脈より静注し、正常または変性LDLを壁内へ侵入させた。大動脈-腎動脈分岐部を上、下両端よりカニュレーションし、75mmHgで圧灌流固定して後、bisBenzimideで核を染色した。正常または変性LDLの壁内への移行を動脈硬化好発部位・非好発部位について3次元的に調べた。その結果、正常LDL、変性LDLどちらも壁内蓄積は、どの部位でも内皮が中膜より大きかったが、部位別に比較すると、好発部位で大きかった。中膜を比較すると、変性LDLがかなり侵入しているのに対し、正常LDLは極わずかであった。この結果は、血液中の変性LDLが中膜まで侵入するか、内皮に入った正常LDLが酸化を受けて変性LDLとなり、中膜に入るという可能性を示唆し、いづれにしろ壁内への正常または変性LDLの侵入は局所血流条件の影響を大きく受けることを示している。
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