研究課題/領域番号 |
06559004
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30143358)
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研究分担者 |
三浦 紳治 株式会社ニコン, 特機設計部, 研究職(課長)
川田 光伸 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究科, 助手 (50280558)
河野 嗣男 東京都立科学技術大学, 工学部, 教授 (00161878)
村上 浩 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究科, 助教授 (40135299)
田辺 俊彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90179812)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 冷却望遠鏡 / 赤外線 / 軽量鏡 / 衛星搭載機器 / シリコンカーバイド / スペース観測 |
研究概要 |
まず、低温用の軽量鏡材料の調査を行ない、SiC(シリコンカーバイド)が低温での変形が少なく、また多孔質のSiCを母材に使用すれば、軽量化の点でも有利であることが確認されたため、SiCの軽量150mmの球面軽量鏡を試作し、評価を行なった。この際、研磨のために表面に付けるSiCのCVD層の非一様性が研磨の段階でも問題になることがわかった。さらに液体ヘリウム温度での鏡面測定を行ない、低温での性能を評価した。低温テストでもこの非一様性に起因すると考えられる鏡面の歪みが観測されたため、CVDのプロセスを改善して、試作を再度行ない低温テストを行なった。CVDのプロセスを改善した結果、研磨時に問題が発生することはなくなった。また、一回目に見られたような鏡面の変形もなくなったが、一回目では確認できなかった、支持のための構造に起因する変形が見られるようになった。これはCVD層と母材の多孔質SiCとの熱膨張の差に起因するものと考えらる。いずれにせ変形量は1ラムダ(可視光)程度であり、低温での再現性もきわめてよいので、冷却試験の結果を反映させて研磨することも可能と結論される。また、最終的に試作された鏡は、一回目に比べて精度の高いものが得られており、著しい改善が見られ、CVDプロセスの改善の成果がはっきり確認できた。これらの結果に基づき、次期赤外線衛星で検討している700mmの望遠鏡の概念設計・検討を行なった。上記のように、現状では低温で変形のない、完璧な試作品がまだ得られていないが、本研究により、問題点はブランクの製作、特に形状・CVD層の生成の過程にあることがわかり、改善の方向も明らかになっている。このため、解決すべき課題は残っているが、要求を満たす衛星用低温軽量望遠鏡の製作はSiC鏡により十分進められると結論され、本研究の主たる目的は達成された。
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