研究課題
基盤研究(A)
本研究は使用済核燃料再処理に光化学反応を利用した最初の試みである。再処理において、最も重要なことはアクチノイドイオン、特にプルトニウムとネプツニウム、の原子価を調整することにある。それは、現行の再処理法であるPurex法において、TBP(リン酸トリブチル)による抽出を行うさい、PuとNpはそれらの原子価により著しく抽出率が異なり、それら元素を回収あるいは相互分離するさい、原子価を調整する必要があるからである。本研究では光反応を利用してPuとNpの原子価調整を試みた。その結果、Pu(IV)とNp(V)イオンを含む硝酸溶液中に高圧水銀ランプによる光照射を行うと、PuとNpはいずれも6価イオンまで酸化され、TBPにより共抽出されることが分かった。一方、抽出された有機相に光照射すると、Pu(VI)は全く還元されないが、Np(VI)は5価に還元され水相に逆抽出され、PuとNpを分離することができた。以上の結果、光反応を用いると、再処理溶液中に新たな添加物を加えることなく、PuとNpの原子価を調整することが可能であり、それによりPuとNpの回収と分離を効率良く行なえると結論された。
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