研究課題/領域番号 |
06559011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野田 章 京都大学, 化学研究所, 教授 (20114605)
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研究分担者 |
廣田 淳一 (株)日立製作所, エネルギー研究所, 研究員
平本 和夫 (株)日立製作所, エネルギー研究所, 主任研究員
白井 敏之 京都大学, 化学研究所, 助手 (50252507)
岩下 芳久 京都大学, 化学研究所, 助手 (00144387)
井上 信 京都大学, 化学研究所, 教授 (90028176)
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キーワード | 陽子シンクロトロン / ラティス設計 / シンクロトロン加速 / 周波数制御 / 非同調型高周波加速空胴 / 半導体増幅器 / マルチフィード給電法 / がん治療専用小型陽子加速器 |
研究概要 |
がん治療用小型陽子加速器に関して、機能結合型の陽子シンクロトロンを用いることにより、電磁石電源の制御の簡素化をはかり、装置の更なる小型化を進めることを目指してシンクロトロンリングのラティス設計を行った。さらに渦電流の効果による誤差磁場及び真空槽における発熱を考慮した加速パターンの決定を行い、陽子ビームの加速に必要な高周波電場の周波数範囲及び必要電圧の算定を行った。この結果に基づきこの高周波電場を実現するための加速空胴の設計を行った。その際、医療用加速器に要求される制御の簡素化を実現するためにこの加速空洞を非同調型で実現することとし、その励振のための高周波増幅器もメインテナンスの容易さを考慮して半導体増幅器で実現する可能性を追求した。この目的のためには増幅器からの電力を可能な限り効率よく加速空胴に給電してやる必要があり、これに関して、インピーダンスのミスマッチを極力抑えたマルチフィード給電法を考案し、高周波増幅器の必要電力を当初の設計値から半減することに成功した。こうした基礎研究のうえにたって、実際のがん治療用加速器に使用可能な高周波加速空胴の実機の製作を実行し、低電力及び実電力における種々の電気特性の測定を行った。これらの結果に関しては、平成7年春の日本物理学会年回(於神奈川大学、横浜)及び同5月の米国テキサス州ダラスに於けるアメリカ物理学会主催の粒子加速器会議において発表を行う予定である。高周波加速空胴としては、この実機に次年度で予定している制御回路系を追加し、総合運転のシュミレーションを行うことにより、実用化の目途がたてられると考えている。 がん治療用加速器全体としての実用化に向けては、加速器からのビームを医療照射に供するシステムが不可欠であるが、これに関してもビーム照射野拡大方法の提案を行い、システムの小型化を図る工夫を進めつつある。
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