研究概要 |
本研究では,ディーゼル排ガス中の炭素微粒子(パティキュレート;PM)と窒素酸化物(NO_X)の有害成分を同時に除去,無害化する新しい排ガス浄化システムの開発を目指したものである. 1.CuFe_2O_4触媒とPMの混合物を反応ガス中で連続昇温しながら反応を追跡する昇温反応法を用いて,PM-NO_X同時除去反応機構について検討した. ・PM-O_2反応は酸素分圧に0.5次であり,O_2が触媒表面に解離吸着し,生成した原子状酸素がPM表面の活性炭素を攻撃して酸素により活性化された中間体(C^*[O])を生成し,それが吸着酸素あるいは気相酸素と反応する機構を提案した. ・PM-NO反応のNO分圧依存性や生成物の物質収支は複雑であったが,吸着NOから含窒素・酸素中間体や含窒素中間体がPM表面に生成し,温度により律速段階が変化するとして,説明できた. ・NO_2を用いればPMの着火温度は低下するが,O_2存在下ではNO_2はN_2まで還元されるのに対し,O_2非存在下ではNOまでしか還元されない.また,PM-NO-O_2反応の着火温度はNO_2(+O_2)中に近く,NO_2とO_2が同時除去反応に深く関わっていることが示唆された. ・以下の結果をもとに,(1)NOの酸化によるNO_2の生成,(2)NO_2の解離吸着による原子状吸着酵素の生成,(3)PM表面でのC^*[O]中間体の生成,(4)気相酸素の関与によるC^*[O]中間体濃度の増加をキ-ステップとするPM-NO_X同時除去反応機構を提案した. 2.ペロブスカイト型La_<0.9>K_<0.1>CoO_3をハニカムフィルターに担持し,実排ガスから直接PMを捕集した後に,SO_2,H_2Oを含む模擬ディーゼル排ガス中でのPM-NO_X同時除去特性を測定した.PM/触媒混合物を用いる基礎研究と比較すると,着火温度が約100℃高くなりまたNO_X還元率も低下するが,比較的良好な同時除去特性を示し,本プロセスの実用化の可能性が強く示唆された.
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