研究概要 |
数百GPaの超高圧がダイヤモンドアンビル高圧装置や衝撃圧縮法によって得られている.しかし,このような外力方式の高圧装置では圧力媒体を必要とし,圧力発生に摩擦の影響が避けられない.また,ダイヤモンドアンビル高圧装置についてはその発生圧力値は限界に達しているように思える.一方,衝撃圧縮法は正確な圧力測定と圧力制御は困難であり,装置は大規模になる.熱膨張拘束による高圧装置は内力方式であるので,摩擦や圧力媒体による圧力損失は外力方式による高圧発生法と比較して無視できる.この方法では熱膨張体に熱エネルギーを高密度に集中させ,これを拘束することができればこれまで以上の超高圧の発生が可能になると期待できる.本研究は,光透過性があり弾性係数および機械強度が大きいダイヤモンドに拘束された物体に高出力のパルスレーザー装置から発振したレーザー光を絞り込んで照射することによって超高圧を発生させる装置の開発を行い,この装置によるテラパスカルオーダーの超高圧発生の可能性について理論的および実験的に検討するものである。 本年度において,本装置において発生する高温と高圧をそれぞれ輻射光スペクトルおよびルビー蛍光線あるいはラマン散乱スペクトルの圧力依存性を利用することによって測定するために,次のような機能を持つ光学系を設計試作した.1.高温部からの輻射光の影響を避けてルビーの螢光線やそれよりも遙かに強度が弱いラマン散乱光を測定するために,高温部周辺の高圧発生領域の任意点からの放射光を集光し,これを分光器を介してCCD検出器に分配する.2.1と同時に高圧発生領域高温部の任意箇所からの輻射光を分光器を介してCCD検出器に送る.さらに,上記光学系に適合したダイヤモンド・アンビル拘束用装置の設計と試作を行った.今後は,この光学系に分光器とCCD検出器を取り付け,装置に発生する温度と圧力の測定を行う予定である.
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