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1995 年度 実績報告書

科学のナラトロジー的分析と真理および存在の概念

研究課題

研究課題/領域番号 06610003
研究機関東北大学

研究代表者

野家 啓一  東北大学, 文学部, 教授 (40103220)

キーワードナラトロジー / メタファー / アナロジー / 生命誌 / 科学的真理 / 理論的存在 / レトリック / コスモロジー
研究概要

平成7年度は、前年度に収集・整理を行った基本文献や資料をもとに具体的な研究の取りまとめを行い、その成果を学会や研究会において公表することに努めた。「ナラトロジー」の方法論がこれまで最も生産的な形で適用され、成功を収めてきたのは歴史哲学、とりわけ歴史叙述理論の分野である。そのため本年度はまず「歴史叙述とナラトロジー」の問題と取り組み、客観的事実や歴史的真理と呼ばれるものがいかにナラトロジー的変形を受けているかを「記憶」と「過去」の関係を掘り下げることによって明らかにした。その成果は雑誌『へるめす』(岩波書店、隔月刊)55号から58号まで4回連載の形で公表し、また「<社会科学の方法>研究会」(於:東北大学)および「<法律学と社会哲学の交錯>研究会」(於:姫路獨協大学)において口頭発表を行った。
次に、科学のナラトロジー的分析を遂行するに当たっての手がかりを「コスモロジーの変遷」という歴史的事象の中に求め、17世紀の「科学革命」以後の自然科学の展開を「地動説革命」「進化論革命」「地球環境革命」という三段階の叙述構造の変遷に即して分析し、さらに科学的言説において働くメタファーやアナロジーの役割について考察した。科学がナラトロジー的構造をもつことは、「科学概念」であると同時に「文化概念」でもあるというコスモロジーの二義性に深く関わっており、そのことは現代科学のあり方に反省を迫り、文化概念すなわち「生存の秩序」としてのコスモロジーの復権を要請することにつながる。以上の知見は『思想としての科学』(大日本印刷)にまとめてあり、また「メディアスケープ研究フォーラム」および「広島大学比較文化研究会」において口頭発表された。ただ「科学のナラトロジー的分析」を方法論として確立する面については未だ考察が不十分であり、今後の課題としたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 野家 啓一: "「生命誌」をめぐる断想" 現代思想. 22巻10号. 262-267 (1994)

  • [文献書誌] 野家 啓一: "記憶と歴史(I)" へるめす. 第55号. 15-24 (1995)

  • [文献書誌] 野家 啓一ほか8名: "科学論(岩波講座「現代思想」第10巻)" 岩波書店, 349 (1994)

  • [文献書誌] 野家 啓一: "思想としての科学" 大日本印刷株式会社, 25 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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