研究概要 |
1.本研究はその研究目的に即して、第一にギリシア教父の分野では『エイコーン』誌においてニュッサのグレゴリオスの『雅歌講話』研究を続行、執筆し、ギリシア・西洋的存在の概念を打破するヘブライ的存在(ハ-ヤ-)の教父における影響を明らかにし,それが無限者に自己超越する人間論に結実すること,その結実はエペクタシス倫理学に要約されることを示した。この分野では,さらに古代から近代に至る教父哲学の書『フイロカリア』翻訳の遠大な計画が実現されつつある。それと共に,教父学会では、海外の教授の講演を実現した。 2.第二にヘブライ・キリスト教哲学の分野においては,スヒレベ-ク著『イエス』の翻訳をなし,古代キリスト教から現代人間論にまたがる人間的宗教的生の在り方を示した。それと共に論文「哲学の責任とhay^-h」によって,現代における人間の責任の在り方をヘブライ的倫理(遊牧民のエチカ)から照射した。このテーマは「他者」との出会いの問題としてトマス哲学の判断論と他者存在の出会いに関する論文で再考され,学会発表、雑誌論文の形で世に問われた。 3.これに加えて研究会が名古屋,京都などで開かれ,『エイコーン』『パトリスティカ』誌にまとめられた。
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