研究課題
基盤研究(C)
各研究分担者がそれぞれの専門分野の立場から、そして主としては生命論、人間論に関するこれまでの研究実績を踏まえて、重要かつ内容豊かな哲学的概念の一つである同一性=アイデンティティーに関する問題に目を向け、お互いの意見発表と討論を通じてこの概念の意味を様々な角度からできるだけ多面的に明らかにすることを目指した。各分担者の専門は哲学、倫理学、宗教学、理学思想と多方面にわたっており、しかも地理的に西洋、日本、中国、印度という東西の諸地域を広く覆っているため、一方では個々の専門学制の枠を越えたある種の学際的な、また他方では特定の地域に偏しない一種の比較思想的な探究が可能となり、その結果として様々な歴史的伝統と地理文化的環境から育くまれた多様な同一性概念を、種々異った視角や立場から俯瞰することができた。しかしこのことは、同一性概念の内容があまりにも広くかつ深いという事実がひとまずは確認されたということであり、今後さらにこれらを全体的、統一的に把握する哲学的視点を獲得する努力が必要とされるのである。
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