本研究はプトゥン作「入菩薩行論註釈」を文献学的、および哲学的な視点から分析することを目的としている。3年間に及んだ本研究の成果報告書として、An Analysis of Bu-ston's Commentary on the Bodhisattvacaryavataraを取りまとめることができた。その報告書は、以下のような4つの章から成る。 1「入菩薩行論」に関する最近の研究動向と概要 2「入菩薩行論」に対するチベット語撰述文献について 3プトゥン作「入菩薩行論註釈」奥付の内容分析 4「入菩薩行論」第9「般若波羅密」章に対するプトゥンの構成理解 また、これと併せて、敦煌チベット語写本にのみ伝承される初期本「入菩薩行論」のローマ字テキスト、および初期本に対する唯一の註釈文献である「入菩薩行論細説細疏」の第8「般若の説示」章の訳注研究を付録として添え、研究者の利用に供した。
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