平成7年度は、おもに室内画を対象とするネ-デルラント建築画の研究を実施した。初期ネ-デルラント(フランドル)絵画における初期の建築表現の発展においては、聖堂の内部空間などを描いた室内画が重要な意味を有している。特にヤン・ファン・エイクの作品に描かれた建築室内は、イタリア絵画などその関係においても、重要であることがわかってきた。これは前年度に実施した建築物を外側から単体で、あるいは群として描いた建築画においても同様である。 16世紀の画家としては、イタリアに赴き、建築の描写などにイタリア風の細部描写を用いたマビューズ(ヤン・ホッサールト)が注目される。また、15世紀後半に活躍したヘ-ルトヘン・トット・シント・ヤンスの作品を室内画という観点から重要であることがわかってきた。 17世紀オランダの室内画の画家としては以下の人々が各々に興味深い作品を残しており、本研究においても、調査研究を更に進めている。 ヘラルド・ホウクヘ-スト、ヘンドリック・ファン・フリート、エマニュエル・デ・ウィッテ、イサーク・ファン・ニッケル、ヨプ・ベルクヘイデおよびヘリット・ベルクヘイデである。以上のような平成7年度の研究効果を踏まえて、平成8年度の統括研究に移行する予定である。
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