研究概要 |
本年度においては,初年度(平成6年度)で整理されたゲーム場面の分類に基づいて,それぞれの場面で葛藤を生じる条件を設定し,質問紙法によるデータ収集を行い,葛藤解消のために用いられるヒューリスティックスならびに選択基準を収集整理し,最後にそれらの相互関係を分析した。質問紙で記述させる方法は初年度と同様であるが,初年度において分類した。ゲーム課題の質問紙として、2選択肢線形利得関数のN人対等ゲームΓLと2区間2選択肢区間内定値利得関数のゲームΓsのすべての基準ゲームそれぞれ39種類(1端点水準から4端点水準までのCC、CI、CD、II、DD、IDの各群の全ゲーム)合計78種類を具体的な得点で表現した利得表を提示した。また、ゲーム状況における参加プレイヤーの人数設定の効果をみるために、N=3とN=11の2条件を設定した。したがって、課題条件は合計4条件である。結果は、(1)被験者の選択反応、(2)当該選択の難易度、(3)被験者自身が記述した選択理由、という3つに分けられ、ディレンマとコンフリクトに関係する意思決定ヒューリスティックスに関係する反応を中心に分析・整理した。選択基準に対する優先順位を整理した結果、 α基準(内部性)>β基準>格差>利得和>選択肢の型>外部性、という順序性が明らかにされた。さらに、等価的ならびに排他的ディレンマの構造的特性を分析し、このようなディレンマを解決する方法がヒューリスティックスとしての選択基準によって解決される方法が示唆された。
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