研究概要 |
本一般研究(C)の第2年目では、男子大学生30名を被験者とする予定で,研究をスタートさせた。しかし、研究のスタートが時期的に遅れたり、装置の故障があったりで、24名分を計測し終えたところで年度末を迎え、当初の予定を貫徹させることはできなかった。それでも、第1年目に引き続き、無拘束ホルタ型血圧-心拍出量計を装着させて、被験者の血圧、心拍出量、末梢血管抵抗を、日常生活場面で24時間にわたって間欠的(5分毎)に計測した。加えて、第1年目に24時間計測を経験済みの者の中から5名選び、再計測を実施した。(これを10名まで実施することが、第2年目の眼目であっただけに、上記にような理由で貫徹させ得なかったことは、反省が残る。) その結果、本研究の第1の目的=「体動・運動・飲食・ストレスなど、血圧が上昇する場面(昇圧エピソード)を特定する」こととの関連では、第1年目と同様のデータが得られた。すなわち、血圧の日内変動は、明らかな2相性(覚醒時対睡眠時)が認められ、これに昇圧エピソードと関連する小さな変動が重畳する。頻度の高い昇圧エピソードとしては、会話(電話を含む)、TVおよびTVゲームなどが特定される。受動的対処事態(TV)では、末梢血管抵抗増加による血圧上昇を認めるが、能動的対処事態(会話、TVゲーム)では、心拍出量増加による血圧上昇が、必ずしも期待通りには出現しない、などである。次いで、第2年目の目標である再計測組のデータであるが、血圧の日内変動における2相性似ついては、ほぼ類似の傾向を認めた。しかし、昇圧エピソードは第1回目と第2回目で異なるため、血行力学的昇圧機序の比較検討に難しさが残った。
|