研究概要 |
本年度は、昨年度に24時間ホルタ型血圧-心拍出量計で計測を実施した20名の男子大学生の中から、ランダムに10名を抽出し、昨年度と同様の方法で、日常生活場面における再計測を試みる予定であった。しかし、被験者の都合がつかず、実際には9名の計測にとどまった。本年度の研究目的は、計測-再計測間の再現性を調べることがあったが、本研究で使用したホルタ型血圧-心拍出量計の現状は、プロトタイプなるが故の、さまざまな計測上のトラブルがあり、満足なデータの得られたのは、さらに2名減って、7名だけであった。そこで、一昨年度から昨年度へかけて、計測-再計測間の再現性を調べた別の10名のデータのうち、満足なデータの得られた8名も加え、合計15名に関する分析を試みた。とくに、行動日誌の分析から、多数の被験者にチェックされた昇圧エピソードとして、「会話」(7名)、「TV」(10名)、「TVゲーム」(5名)を取り上げ、これに絞って計測-再計測再現性を評価した。その結果、平均血圧の反応性(=昇圧エピソード出現時の平均血圧/直前(5分前)ベースライン時の平均血圧)に関する計測-再計測相関係数は、「会話」が0.207、「TV」が0.252、「TVゲーム」が0.304、であった。また、末梢血管抵抗および心拍出量それぞれの反応性から双方の比を求め、末梢血管抵抗反応性対心拍出量反応性の、いずれが相対的に優位であるかの指標とした。そして、これに関する計測-再計測相関係数を求めたところ、それぞれ0.283,0.366、0.412、の値を得た。こうしたことから、これらの指標に関する計測-再計測-慣性は、せいぜい中等度であり、さほど高くないことが判明した。しかし、将来の知見に照らせば、十分に妥当な結果であるとも思われた。なお、平均血圧の日内変動に関する、最大エントロピー法を用いた分析については、過去2カ年のデータと一緒に、別形態の分析を施した。
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