研究課題/領域番号 |
06610089
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
実験系心理学
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
渡辺 正孝 東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 副参事研究員 (50092383)
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研究分担者 |
白川 修一郎 国立精神神経センター, 精神保健研究所, 精神保健研究室長 (20100141)
小田桐 恵 東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主事研究員 (10260308)
彦坂 和雄 東京都神経科学総合研究所, 心理学研究部門, 主事研究員 (60129004)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 前頭連合野 / 作業記憶 / 遅延反応 / ニューロン活動 / 並列処理 / 報酬 |
研究概要 |
「作業記憶」は、ある活動に必要な情報を外界または内的な貯蔵機構(長期記憶)から取り込み、必要な期間それを能動的に保持するメカニズムとされる。複雑な課題解決においては、同時にいくつもの情報を並行して脳内に作業記憶として保持しておく必要がある。本研究では、複数の情報が保持され得るような課題状況でサルの前頭連合野からニューロン活動を記録し、その保持の過程を調べた。得られた結果は次のようにまとめられる。 (1)サルに右か左の餌箱のどちらかランダムにりんごとかレ-ズンなどの餌、あるいはそれと結びついた中性刺激を提示し、一定の遅延期間後にその刺激の提示された側にサルが反応すればその餌を報酬として与えるという「遅延反応課題」を訓練した。 (2)遅延反応の遅延期間中に左右の試行で異なった活動を示すニューロンが見出された。 (3)異なった報酬が期待される場合、遅延期間中にその違いを反映した活動を示すニューロンが見出された。 (4)報酬を実際にサルに見せた場合(直接法)と、特定の報酬を意味する中性刺激を出した場合(間接法)では、遅延期間中のその違いを反映した活動を示すニューロンも見いだされた。 (5)最も重要な発見として、前頭連合野ニューロンの中にはこうした「遅延反応における左右の試行の違い」、「報酬の違い」、「直接法と間接法の違い」といった情報の内の2つまたはそれ以上の情報を並列的に作業記憶として保持する働きをするものが見出された。前頭連合野は行動のプログラミングと行動の適切な順序による遂行をモニターする働きをしているが、前頭連合野のこうした高次機能は、複数の情報を並列的に保持する働きをもつ作業記憶を担う前頭連合野ニューロンにより支えられているのではないかと考えられる。
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