研究概要 |
体温リズムが睡眠・覚醒リズムや睡眠構造におよぼす影響の研究は多いが,逆に,睡眠・覚醒リズムの変化が体温リズムにおよぼす影響の研究はきわめて少ない.そこで,(1)睡眠を分析(中途覚醒)させた時の体温リズムにおよぼす影響.(2)体温リズムのさまざまな位相で睡眠を負荷し,体温リズムへの影響に違いがあるかどうかを検討した. (1)夜間睡眠の第2睡眠周期と第4睡眠周期に中途覚醒をさせ、体温の変動におよぼす影響を見た.また中途覚醒の長さによってその影響に違いがあるかを検討した. (2)4条件の体温リズムの位相(下降期,最低温期,上昇期,最高温期)で睡眠をとらせ,直腸温と活動量を携帯用データ・ロガーによって連続記録し体温リズムの睡眠期による変化を測定した.各条件とも,通常の睡眠覚醒リズム下での体温リズムの測定,異なる位相で睡眠をとったときの測定,睡眠をとった位相による体温リズムの変化測定,およびその変化からの回復過程をみるための測定の4期を含んでいる.これらの記録は運動量・摂取量を統制した拘束条件(constant routine)下で行った. 今までの研究成果として,睡眠の中断(中途覚醒)によって体温位相が前進する可能性があること.睡眠の中断の時間的長さによってその影響が異なることを明らかにした.さらに,睡眠をとる時刻が体温リズムに及ぼす影響をみる系統的な実験実験では,睡眠をとった位相による体温リズムへの影響(前進,後退,振幅の変化)をみた.前年度に引き続きデータ分析中であるが,体温のサーカディアン・リズム・オシレッタにおよぼす睡眠の影響を定量的の明らかにすれば,サーカディアン・リズム位相の前進や後退による睡眠障害やリズム異常の治療に応用することも期待されよう.
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