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マカクザル下部側頭回TEO野は、その摘除により重篤な図形弁別障害が生じる事から、形態弁別に必須の領野と考えられてきた。本研究の目的はこの概念の再検討である。実験の動機は、最近の解剖学的研究及び電気生理学的研究で、TEO野がこれまでのTEO野摘除域のうち隣接上側頭溝域を含まない事がわかったことによる。本年度は、6年度の実験において軽微ながら図形弁別術後保持テストで障害を示した脳回TEO野摘除ザルで、以下の変図形弁別課題での行動を調べ、その結果を従来型TEO野摘除ザル及び正常ザルの結果と比較し上記概念の検討をした。学習及び保持テストで使用された基本図形につき、図形縮小課題と背景カード・図形縮小課題を用い、弁別閾値を調べた。図形縮小課題では、背景カード寸法は当研究室における基本課題と同じで、図形寸法のみ基本図形の7/8、6/8、5/8、4/8、3/8、2/8、1/8、1/10に縮小されていた。ちなみに本研究では学習と保持テストには基本図形の7/8サイズの図形を使っている。背景カード・図形縮小課題では背景カードと図形寸法いずれもが、上記の縮小率で縮小されていた。両課題につき下降系列および上昇系列法で弁別可能閾値を調べた。脳回TEO野摘除ザルはいずれの課題でも正常ザルに比べ弁別可能閾値の上昇を示した。従来型TEO野摘除ザルに比べると、図形縮小課題での弁別閾値はより低く、背景カード・図形縮小課題での閾値は同程度であった。これらの知見は、脳回TEO野摘除ザルの図形知覚は正常ではないにしても障害の程度は従来型TEO野摘除ザルに比べ軽微であることを示している。
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