平成8年度は、平成7年度から平成8年度にかけて「中学生・高校生がスクールカウンセラ-に求める援助」についての調査研究の完成と不登校児・LD児に対する学校心理学的援助サービスのモデルの研究を行った。中学生・高校生の調査に時間を使い、小学生対象の調査研究、そして「学校心理学的援助サービスのスキル」の研究ができなかった。 研究代表者と研究分担者は日本学校心理学研究会に所属する教師、カウンセラ-、保護者の協力を得て、全国の中学生1年生・2年生・3年生計1469名、高校生1年生・2年生計1403名を対象として、「悩んだ経験」「そのときの相談相手(選択肢から2つ選択)」「相談の満足度」「スクールカウンセラ-は必要か」について質問した。スクールカウンセラ-は「学校で授業をもたないで、どんなことでも気軽に相談にのってくれる人」と説明した。主な結果は以下の通りである。(1)中学生の悩みは「学習面・進路面の悩み」と「心理面・社会面の悩み」に分けることができる。高校生の悩みは3種類で、中学生のもつ2種類の悩みに加えて「よく分からない不安や不満」が加わる。(2)中学生・高校生ともによく相談するのは、友人(中学生34%、高校生で38%)、親(それぞれ23%、15%)、教師(それぞれ17%、14%)であった。しかし、「誰にも相談しない」と回答した中学生高校生ともに38%と高かった。(3)スクールカウンセラ-を必要と応えた中学生は51%、高校生は58%であった。また生徒は学習・進路面、心理・社会面など多くの場面でカウンセラ-を必要と考えているまたようだ。これらのことから、学校にスクールカウンセラ-を配置する必要があること、カウンセラ-は学習面もふくめて幅広い相談にのれることが望ましいこと、生徒が友人をつくるような援助が必要であること、そして悩んでいる生徒を援助するためには親を含めたチームが効果的であることなどが示唆された。
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