研究概要 |
大学生の被験者に、個人または所属する集団を単位として、TATテストに類似したテストに回答させた。次に、その回答について、他者あるいはグループとの類似性が高い、あるいは低いという偽のフィードバックを与えたり、フィードバックを与えないグループを作った。その後で、次にどのような課題を行いたいか、今の気分はどうか、などを尋ねた。さらに、山口の集団主義尺度(Yamaguchi,1994;Yamaguchi,Kuhlman,& Sugimori,in press)を用いて、被験者の集団主義的傾向を測定した。また、独自性欲求尺度にも回答を求めた。このような状況で、集団主義的な者ほど他者と異なった選択を行うことを避け、他者と同じであるという情報を与えられたときに、安心することが考えられる。しかし、集団状況ではこのような傾向は逆転すると予想した。 この実験で得られた主な結果は、次のようなものである。まず、集団主義との関連では、集団条件で、集団主義的な者で、類似性のフィードバックの効果が見られた。これは、集団主義的なものほど集団レベルで高類似性のフィードバックを受けたとき、独自性の欲求を高めるたためであった。これは、予測を支持する結果であった。また、個人一集団の操作および類似性のフィードバックは、有意に情動に影響を及ぼしていることがわかった。つまり、集団条件や低類似のフィードバックを与えられた条件ほど快適であると回答していた。また、高類似というフィードバックを与えられた群ほど、独自性欲求が高いという傾向が見られた。
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