研究概要 |
本研究は、小、中学校の教師が、教師としていきていく中で具体的にどの様なことが心身の負担、すなわちストレスになっているのかを実証的に記述し、教育問題を考える上での一つの視点を提出すること、また、教師の心身の健康を規定する要因を取りあげ心身の健康とそれらの要因との関係を明らかにすることを目的とした。 平成7年度は、平成6年度に行われた研究成果に基づいて、次の様な研究をおこなった。すなわち、平成6年度に実施した研究結果に基づいて作成された教師用ストレス暫定尺度、宗像・椎谷(1988)の尺度に情報的サポートの項目を追加したソーシャル・サポート尺度、及びバーンアウト尺度(田尾,1987,1989)を用いて、小、中学校教師、約600名を対象として郵送法による調査を行った。分析は回答のあった327名を対象とした。 まず、ストレス暫定尺度の経験度の反応をもとに因子分析を行い、その結果、9つの下位尺度からなる教師用ストレス尺度を構成した。さらに、ストレスの校種、性、教職経験年数別の違いを明らかにした。 次に、各ストレス、ソーシャル・サポートとバーンアウトとの関係を検討した。その結果、教師のバーンアウトの消耗度は各ストレスが高く、また情緒的サポート量が少ないほど高かった。情報的サポートと消耗度との関係は見いだされなかった。バーンアウトの達成度については、ストレス、情報的サポートとの関係に一貫した結果がみられず、情緒的サポート量との関係が深いこと、などが明らかにされた。
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