本研究は、小、中学校の教師が、教師としていきていく中で具体的にどの様なことが心身の負担、すなわちストレスになっているのかを実証的に記述し、教育問題を考える上での一つの視点を提供すること、また、教師の心身の健康を規定する要因を取りあげ心身の健康とそれらの要因との関係を明らかにすることを目的とした。 研究1では、527名の小、中学校の教師を対象とし、ストレスとなる事柄、及び対処行動を明らかにする目的で、自由記述による調査を行った。また、同様の目的で、20名に対してストレス日誌により調査、及び13名に対して個別面接調査を行った。 これらの調査によって得られた反応はそれぞれカテゴリに分類され、小、中学校の教師のストレス、及び対処行動の特徴が明らかにされた。たとえば、ストレスについて述べてみると全体に反応数の多かったのは、生徒指導・学級経営、同僚との関係、授業・教科指導のカテゴリであった。また、小学校に比較して中学校の教師で生徒指導・学級経営のカテゴリへの反応が多かった。 研究2では、小、中学校教師の精神的健康を規定する要因を明らかにする目的で、研究1の結果に基づいて作成された教師用ストレス(9つの下位尺度から構成されている)尺度、ソーシャル・サポート尺度、及びバーンアウト尺度を用いて、327名を対象として調査を行った。 その結果、教師のバーンアウトの消耗度は各ストレスが高く、また情緒的サポート量が少ないほど高かった。情報的サポートと消耗度との関係は見いだされなかった。バーンアウトの達成度については、ストレス、情報的サポートとの関係に一貫した結果がみられず、情緒的サポート量との関係が深いこと、などが明らかにされた。
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