研究概要 |
平成7年11月までに、(1)残余のデータの収集(主として攻撃動機のカウンターパートとしての向社会的動機に関連したAlt-Sit: Altruistic Situation Scenario,向社会的行動質問紙、及び、家族構造についての質問紙FacesIII)の完了。(2)投影法的材料の分析:A-Sit,TAT,So-Sit母親用、So-Sit1987年版、So-Sitこども用、それぞれのスコアリングのためのスコアリングカテゴリーの再点検とスコアラーの訓練・養成/スコアリングの実施/結果のコンピューター入力を完了した。 個別材料の分析からは多くの重要な結果が示されたが、一つの問題として、今回用いられた諸材料のうち、質問紙(SAS,RASQ,APQ,FACESIII,向社会的行動質問紙)のそれぞれの間の関連性は高く、因子分析によって得られたそれぞれの因子間の関係も多くは仮説どおりのものであった。これに対して、質問紙以外の投影法材料との相関は多くの場合低かった。しかし、投影法材料内での関係には関連性が高く、このことから2水準での分析を妥当とすることにした。攻撃動機と養育態度の関係は全体としての関連が明らかであり、母親のフラストレーションの高さ、子供の心理的自由への許容の低さが子供の高い攻撃動機に結びついていた。縦断的観点からは、幼児期に子育てに熱心なあまり子供に対して統制的な母親が、子供が思春期を迎える時期になって子供からの反抗を受けることが多く、また子供に対する心理的葛藤に悩まされるということが顕著だった。
|