認知スタイルのなかでも分析性・抽象性尺度と印象性・想像性尺度は親子間の相関関係が高く、また潜在的ラテラリティとの関連から、この類似性が単なる環境の要因だけでは説明できないものであることが坂野の先行研究から確かめられている。認知スタイルの親子間の類似性に関するこの先行研究をさらに深める目的で、親子双方に新たに利き脳テスト、大学生に埋没図形テストを追加し、次のような調査を実施した。対象者は京大生約100名とその両親である。大学生については授業時間を利用し、また両親については郵送法により調査を行った。用いた指標は、認知スタイルの指標として、伊田・坂野による認知様式質問紙の分析性・抽象性尺度と印象性・想像性尺度、小倉・八田による利き脳テストの改訂版、利き手及び潜在的ラテラリティテスト、及び大学生には埋没図形テストを加えて実施した。京大生を用いた理由は、坂野の先行研究から京大生が本研究の目的に沿った典型例であることがわかっているからである。 両親からの回答は目下回収中であるので親子間の比較はまだできないが、大学生で用いられたすべての指標において、先行研究と同様に、京大生が認知スタイルを調査していく上での典型例であることが確かめられた。特にそのなかでも、分析性・抽象性尺度と印象性・想像性尺度は文系と理系の専攻差、及び男女差をみる上で有効な指標であることが確かめられた。
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